【感想】「聲の形」全巻一気に読破。コミュニケーションの問題は聴覚障害だけではない。

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昨日の夜、「聲の形」を読んだんですけど、続きが気になりすぎて一気に全巻読破してしまいました(笑)ボロ泣きしながら朝まで読みました。睡眠時間が短くなってしまい、翌朝フラフラで大変でした。


でもこれは、本当に読んでよかったと思わせるストーリーです。反響があった作品、人気アニメというのは必ず「単純な二元論や善悪を超えているから面白い」んですよね。


 

 











「聴覚障害」「いじめの加害者と被害者が恋愛」という宣伝文句のせいで誤解されやすいのでは?
一通り読んで考えたのですが、「聴覚障害者」「いじめの加害者と被害者が恋愛」という言葉につられる人が多すぎて批判が多くなっているのではないでしょうか。


賛否両論とはいいますが、批判の内容を見てみたら「感動ポルノ」「障害で安易に人気になろうとしている」「加害者が救済されるのは許せない」「障害者を聖域化しすぎている」などでした。




しかし、この漫画は「聴覚障害」が主題となっているものの真の本題は「コミュニケーション・人間関係の本性」ではないですか?


登場人物は全員、なにかしらのコンプレックスを抱えており自分の本音を簡単に言い出せずにいます。それは我々のリアルの人間関係にも当てはまります。聴覚障害者は声を出せないから意見を言えない、それだけではありません。全員が本音をさらけ出せず、それでも周囲とわかりあおうとするお話だったのです。




障害の話ばかりがクローズアップされますが、真の本題はそこにあると考えています。そしてコミュニケーション問題の主幹は過去の「いじめ」にあったわけですが、小学生のあの時に円滑に仲良くやっていく方法なんて誰も考え付かなかったのだと思います。


聴覚障害という物珍しさが健常者しかいなかった空間の中に新感覚をもたらしました。あの時の誰もが傍観者で理解が進んでいなかったために、いじめが発生してしまったのです。


もし「いじめ加害者」が現実にいたら一生ネットでさらされ続けて一生救済されない運命をたどらせようと世間が制裁を始める構図になると思います。正直、救済されるなんてズルい許せないという感情は無いこともありません。しかしこの作品は必ずしも「加害者救済に賛成」しているわけではありません。




周りからさんざん制裁され(逆にいじめの標的つまり被害者になって)、殴られ、罵られ、人間関係も崩壊し、一度は自殺を考え、その結果西宮(聴覚障害のヒロイン)が自殺未遂を阻止しようとして主人公・石田が昏睡状態になってしまいます。ここまでボロボロにされてたら、さすがにもういいんじゃないかと(笑)


なにより西宮自身が許しているし、石田が過去に向き合い続けて必死に生まれ変わろうとしていました。その結果周囲の態度も変化しているわけですから。どうせ現実ではいじめ加害者ばかりが保護されてしまうんですから、せめて創作の中では限りなく理想的でありたい、とも思ってしまいます。






主人公・石田の幼馴染「川井」が本当にムカつくしキモイけど、こういう役柄は必要。


石田がずっと好きだった「川井」が最初嫌いでした。好きすぎて石田と一緒にいじめに加担したと思いきや態度をひるがえし自己保身に走り、また登場してきたと思ったら口は悪いし殴るしウルサイで・・・リアルだったらみんな避けているであろう人物です。コイツも制裁されてほしかったです。


いじめ主犯だった石田が吊し上げられてからクラス全員が罪をなすりつけていたのですから、それは全員が悪いですしのちに後悔している場面もあります。




西宮が自殺未遂を起こしたとき殴ったり髪をひっぱったりして乱暴に扱っていたシーンがすごく印象的でした。こういうシーンを書いてしまったら「障害者を殴るなんて!」と批判されそうですが、意外とこういう論調は少ないみたいです。それよりも西宮に浴びせた罵倒や本音のほうが、この漫画の真の本題「コミュニケーション」でした。


聴覚障害に関わらず誰もが相手とのコミュニケーションに悩んでいる。声が出せないコミュニケーションの悩みもあれば、声を出すことで起きるコミュニケーションの悩みを西宮はなかなか気づいていないように見えます。


川井は必死に本音を引き出そうとしたのでは?頭のなかでゴチャゴチャ考えすぎずに言いたい事あるなら言えよ、と。川井は恐ろしいほどの猪突猛進タイプ&石田大好き&いつまでもいじめっ子性格なんでこういう発言しか口に出せない人なんでしょうけど。




それを「おい聞いてんのか!」と聴覚障害者に怒鳴る度胸はすごいですけど。リアルではこんなことできません。この場合耳で聞くというより、心に伝わっているかという意味でしょうね。だけどある意味障害者と健常者のボーダーラインを突破した人物ともいえます。他のキャラと比べて心の矛盾まで言い当てられるところまではいってないですから。


一時期は石田でさえ、贖罪を追求するあまり西宮を聖域化しそうなところまで突き進んでいきましたが、実際その聖域化の雰囲気は崩壊しています。


障害者といっても色んな性格の人がいて当然ですが、このストーリーは「人と人とのコミュニケーション」が主題ですから物語を作るうえで必然的に内向的な性格になったんだろうと考えられます。そういうところまでしっかり描き切った作者の才能がうらやましいです。






やっと聴覚障害の議論が一歩前進した画期的な作品。
全巻読破し終わってまず気になったのが、「聴覚障害者はどんな反応をするんだろう?」でした。その瞬間に初めて自分の生活の中に「聴覚障害の話」が入ってきたことに関して、自分自身に衝撃を覚えました。友人や身内に聴覚障害者がいる人はともかく、ほとんどの人は聴覚障害に関して知識で理解しているつもりであっても実際に関わろうとする人は少ないです。


遠慮も拒否もしていないつもりだったのに、理解しようとしていなかった。そのことについて自分に驚いています。




また、個人的に気になるのが二次創作の反響ですね。あまり見てないですけど(笑)ひと昔だったら「障害者を描くな!」なんて批判があって勝手に聖域化されそうでした。だけど今は当たり前のように二次創作に手話の描写がされ、そのストーリーに心を動かされてしまうのです。


「聲の形」はいろんな意味で画期的な作品で、ごく自然に当たり前のように「聴覚障害」や「いじめ」の話がネットで議論されるほど身近に感じられるようになってきたという現実は興味深いです。この作品が無かったら障害者の議論は進まなかったのでは?障害者の声を聴こうとしなかったのでは?と思わざるを得ないですよね。






長文になりましたが、読んで思ったのが、「これ続編出るでしょ」ですね(笑)出てほしい。続きが気になる。どんな人間関係がこれから繰り広げられるのか。どうか続編が出てほしいですね!









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